「性病は一度の性行為でもうつる?」
「症状がなければ感染していない?」
「検査はいつ受ければいい?」
など、性感染症について疑問や不安を抱く人は少なくありません。
一般に「性病」と呼ばれる病気は、医学的には性感染症と呼ばれます。性器クラミジア感染症、淋菌感染症、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマなどが代表的で、HIV感染症やB型肝炎なども性的接触によって感染することがあります。厚生労働省も、性感染症を「性的接触を介して感染する可能性がある感染症」としています。
性感染症は種類によって感染経路や症状、検査方法、治療法が異なります。また、感染していても症状がほとんど出ないことがあるため、症状だけで感染の有無を判断することはできません。
この記事では、性感染症についてよくある疑問をQ&A形式でわかりやすく解説します。
- Q1. 性病はどのようにして感染する?
- Q2. 一度の性行為でも性病に感染する?
- Q3. オーラルセックスでも性病はうつる?
- Q4. キスだけでも性病に感染する?
- Q5. コンドームを使えば性病を100%予防できる?
- Q6. ピルを飲んでいれば性病も予防できる?
- Q7. 性病になるとどんな症状が出る?
- Q8. 症状がなければ性病ではない?
- Q9. 性病は放置すれば自然に治る?
- Q10. 性病の検査では何を調べる?
- Q11. 性行為の直後に検査すれば感染しているかわかる?
- Q12. 性病検査はどこで受けられる?
- Q13. 一つの性病が見つかったら、ほかの性病も検査したほうがいい?
- Q14. 自分が陽性だったらパートナーも検査したほうがいい?
- Q15. 性病の治療中に性行為をしてもいい?
- Q16. 一度性病になれば免疫がついて、もう感染しない?
- Q17. 性病に感染した時期は特定できる?
- Q18. 性病になったらパートナーの浮気が原因?
- Q19. 性病が心配なとき、すぐに受診したほうがいい?
- Q20. HIVが心配な性行為の直後にできることはある?
- Q21. 妊娠中に性病になると赤ちゃんに影響する?
- Q22. 性病はどうすれば予防できる?
- 性病は症状だけでは判断できない。不安があれば適切な検査と受診を
Q1. 性病はどのようにして感染する?
性感染症の多くは、性行為などの性的接触によって感染します。
具体的には、次のような行為が感染のきっかけになることがあります。
- 膣性交
- オーラルセックス
- アナルセックス
- 性器・口・肛門周辺の皮膚や粘膜の接触
- 性具の共有などによる病原体との接触
感染の仕組みは病原体によって異なります。精液、膣分泌液、血液などを介して感染するものもあれば、梅毒や性器ヘルペス、HPV感染症などのように、病変や皮膚・粘膜との接触によって感染する可能性があるものもあります。
そのため、「挿入していないから感染しない」とは限りません。
Q2. 一度の性行為でも性病に感染する?
はい。一度の性的接触でも感染する可能性があります。
感染する可能性は、
- 感染症の種類
- 接触した部位
- 相手の感染状態
- 病変の有無
- コンドームの使用状況
- 性的接触の内容
などによって異なります。
「1回だけだから大丈夫」「短時間だったから感染しない」と判断することはできません。
Q3. オーラルセックスでも性病はうつる?
感染する可能性があります。
たとえばクラミジアや淋菌はのどに感染することがあり、梅毒やヘルペスなども口・のど・性器周辺の接触によって感染する可能性があります。
咽頭クラミジアや咽頭淋菌では、感染していても症状がほとんどないことがあります。そのため、オーラルセックスの経験があり感染が心配な場合は、性器だけでなく咽頭の検査が必要になるケースもあります。性器クラミジアについても、厚生労働省はのどに感染する可能性を案内しています。
Q4. キスだけでも性病に感染する?
感染症によって異なります。
通常のキスだけでクラミジアや淋菌などが感染する可能性は高くありません。一方、口唇ヘルペスの症状がある場合や、梅毒の感染性のある病変が口唇・口腔内にある場合などには、接触によって感染する可能性があります。
つまり、「唾液が触れた=すべての性感染症がうつる」というわけではありませんが、感染症や病変の状態によってはキスでも感染リスクが生じます。
Q5. コンドームを使えば性病を100%予防できる?
コンドームは性感染症の感染リスクを下げるために重要ですが、すべての性感染症を100%防げるわけではありません。
クラミジアや淋菌、HIVなどでは、性行為の最初から最後までコンドームを適切に使用することが予防につながります。
一方、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマなどは、コンドームで覆われていない皮膚や粘膜、病変との接触でも感染する可能性があります。梅毒についても厚生労働省は、口や性器などの粘膜・皮膚から感染すると説明しています。
コンドームは有効な予防方法ですが、「使用していれば絶対に感染しない」というものではありません。
Q6. ピルを飲んでいれば性病も予防できる?
できません。
低用量ピルなどの経口避妊薬は主に妊娠を防ぐために使用する薬であり、クラミジア、淋菌、梅毒、HIVなどの性感染症を予防するものではありません。
性感染症予防には、コンドームの適切な使用、必要に応じた検査、ワクチン接種など別の対策が必要です。
Q7. 性病になるとどんな症状が出る?
性感染症の種類や感染部位によって症状は異なります。
代表的には、次のような症状があります。
- 排尿時の痛み・違和感
- 尿道から膿が出る
- おりものの量・色・においの変化
- 性器のかゆみ・痛み
- 性器や口周辺の水ぶくれ・潰瘍
- 性器周辺のいぼ
- 不正出血
- 下腹部痛
- 性交時の痛み
- 精巣周辺の痛み・腫れ
- のどの痛み・違和感
- 発熱
- 全身の発疹
ただし、これらは性感染症以外の病気でも起こる症状です。症状だけで性感染症かどうかを判断することはできません。
たとえば性器クラミジア感染症では、特に女性は症状をほとんど自覚しないことが多いとされています。
Q8. 症状がなければ性病ではない?
いいえ。症状がなくても性感染症に感染している可能性があります。
性感染症では、
- 最初から症状がほとんどない
- 症状が軽くて気づかない
- 一時的に症状が出ても自然に目立たなくなる
といったケースがあります。
たとえば梅毒では、症状が自然に消えたように見えても感染が続いている場合があります。クラミジアも無症状で経過することが少なくありません。
したがって、「症状がない=感染していない」とは判断できません。
Q9. 性病は放置すれば自然に治る?
性感染症の種類によって異なりますが、自己判断で自然治癒を期待して放置することは避けましょう。
症状が自然に軽くなっても、病原体が体内からなくなったとは限りません。
たとえばクラミジアでは感染が進行すると不妊などにつながる可能性があります。また梅毒は、未治療のまま進行すると長期間を経て心臓・血管・脳などに病変を起こすことがあります。
症状がなくなったとしても、感染の可能性がある場合は必要な検査・治療を受けることが重要です。
Q10. 性病の検査では何を調べる?
検査方法は疑われる性感染症によって異なります。
主な検査には、
- 血液検査
- 尿検査
- おりもの・子宮頸部の分泌物の検査
- 尿道分泌物の検査
- のどから検体を採取する検査
- 肛門から検体を採取する検査
- 水ぶくれや潰瘍などの病変から検体を採取する検査
- 医師による視診
などがあります。
感染した可能性のある部位によって必要な検査が異なるため、受診時には「どのような性的接触があったか」を医師に伝えることが重要です。
たとえば性器の検査が陰性でも、のどに感染していないとは限りません。
Q11. 性行為の直後に検査すれば感染しているかわかる?
必ずしもわかるとは限りません。
性感染症の検査には、感染してから検査で確認できるようになるまで一定の時間が必要なものがあります。
感染直後に検査すると、実際には感染していても陰性になる可能性があります。
必要な検査時期は、
- 感染症の種類
- 使用する検査方法
- 感染機会からの経過時間
- 症状の有無
などによって異なります。
特にHIV検査には、感染していても検査で確認できないウインドウ期があります。厚生労働省では、HIV抗体検査について感染機会から1か月程度で陽性になる可能性が高まるものの、陰性を確定するためには3か月以降の再検査を勧めています。検査法によって確認できる時期は異なります。
したがって、早い時期の検査で陰性だった場合でも、医師の判断で再検査が必要になることがあります。
なお、症状がある場合は「検査できる時期まで待とう」と自己判断せず、早めに医療機関を受診してください。
Q12. 性病検査はどこで受けられる?
主に医療機関や保健所などで受けられます。
症状や感染部位に応じて、
- 泌尿器科
- 婦人科・産婦人科
- 皮膚科
- 性感染症を扱う医療機関
などが受診先になります。
自治体によっては、保健所などでHIVや梅毒などの検査を無料・匿名で受けられる場合があります。検査項目、実施日時、予約の必要性などは自治体によって異なるため、事前に確認しましょう。厚生労働省も性感染症の検査・相談先を案内しています。
Q13. 一つの性病が見つかったら、ほかの性病も検査したほうがいい?
感染状況によっては、ほかの性感染症についても検査が勧められることがあります。
性的接触による感染機会が共通しているため、複数の性感染症に同時に感染しているケースがあるためです。
たとえばクラミジアが見つかった場合でも、それだけで淋菌、梅毒、HIVなどに感染していないとは判断できません。
どの感染症を検査する必要があるかは、性的接触の内容、感染した時期、症状、パートナーの検査結果などによって異なります。医師に相談し、必要な検査を選びましょう。
Q14. 自分が陽性だったらパートナーも検査したほうがいい?
感染症によって対応は異なりますが、パートナーの検査や治療が必要になることがあります。
たとえば性器クラミジア感染症では、本人だけ治療してもパートナーが感染していれば、再び感染する可能性があります。厚生労働省も、クラミジアが陽性だった場合にはセックスパートナーも医療機関を受診し、治療を受けることが重要としています。
陽性だった場合は、
- どの範囲のパートナーへ伝える必要があるか
- パートナーに検査が必要か
- パートナーにも治療が必要か
- 性的接触をいつまで控えるべきか
を医師に確認しましょう。
Q15. 性病の治療中に性行為をしてもいい?
性行為を再開できる時期は、性感染症の種類によって異なります。
クラミジアなど治療によって病原体を排除できる感染症では、自分とパートナーの治療が適切に行われ、医師から指示された期間が経過するまでは性的接触を控えることが重要です。
厚生労働省も性器クラミジア感染症について、治療が完遂するまでは性交渉を避けるよう案内しています。
一方、性器ヘルペスなどは性質が異なり、症状がない時期にも感染する可能性があります。
そのため、「薬を飲み終えたから翌日から大丈夫」などと自己判断せず、感染症ごとに医師の指示を確認しましょう。
Q16. 一度性病になれば免疫がついて、もう感染しない?
性感染症によって異なりますが、一度感染・治療したからといって、今後感染しなくなるとは限りません。
クラミジアや淋菌などは、新たな感染機会があれば再感染する可能性があります。
梅毒についても、厚生労働省は「一度治っても再び感染することがある」としています。
一度治療した経験がある場合でも、引き続き感染予防を行うことが大切です。
Q17. 性病に感染した時期は特定できる?
多くの場合、症状が出た時期や検査結果だけから、感染した日を正確に特定することは困難です。
性感染症には、
- 感染しても無症状で経過する
- 潜伏期間に個人差がある
- 感染後しばらくしてから症状が出る
- 一度出た症状が自然に目立たなくなる
といった特徴があります。
そのため、「今日症状が出たから、数日前の性行為で感染した」と単純には判断できません。
感染時期について確認したい場合は、過去の検査歴や性的接触の時期などを医師に伝えたうえで相談しましょう。
Q18. 性病になったらパートナーの浮気が原因?
性感染症が見つかったという事実だけで、パートナーの浮気を断定することはできません。
前述したように、性感染症には長期間症状がないものがあり、本人が感染に気づいていないケースもあります。
また、検査結果だけから、
- いつ感染したのか
- 誰から感染したのか
を必ず特定できるわけではありません。
性感染症が判明した場合は、浮気の有無を検査結果だけで判断するのではなく、まず必要な治療を受け、パートナーにも検査・治療が必要か医師へ相談することが重要です。
Q19. 性病が心配なとき、すぐに受診したほうがいい?
性感染症が疑われる症状や感染機会がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
特に、次のような症状では速やかな受診が必要です。
- 突然の強い精巣の痛み・腫れ
- 強い下腹部痛
- 高熱を伴う
- 強い痛みを伴う性器の潰瘍や水ぶくれ
- 症状が急速に悪化している
特に突然の強い精巣痛は、性感染症による精巣上体炎だけではなく、緊急治療が必要な精巣捻転などでも起こるため、「性病だろう」と自己判断せず速やかに受診してください。
また、
- パートナーに性感染症が判明した
- 妊娠中または妊娠の可能性がある
- 感染リスクのある性的接触があった
といった場合も、症状がなくても早めに相談することが大切です。
Q20. HIVが心配な性行為の直後にできることはある?
HIV感染の可能性がある行為から時間があまり経っていない場合には、PEP(曝露後予防)という方法があります。
PEPは、HIVへの曝露後に抗HIV薬を服用し、感染リスクを下げるための予防方法です。
日本エイズ学会の「HIV感染症治療の手引き」では、PEPの開始は曝露後72時間以内とされ、早ければ早いほど有効と考えられるとされています。
そのため、HIV感染リスクが高い行為から72時間以内の場合は、「検査できる時期になるまで待つ」のではなく、できるだけ早くPEPに対応している医療機関へ相談することが重要です。
Q21. 妊娠中に性病になると赤ちゃんに影響する?
性感染症の種類によっては、妊娠中の感染が妊娠経過や赤ちゃんに影響する可能性があります。
特に梅毒では、妊娠している人が感染すると胎盤を通して胎児へ感染し、
- 流産
- 死産
- 早産
- 先天梅毒
などにつながる可能性があります。
一方で、妊娠中に早期発見し、適切な治療を行うことで胎児への感染リスクを下げることができます。
クラミジア、淋菌、B型肝炎、HIV、性器ヘルペスなども妊娠・出産時に注意が必要な感染症です。
妊娠中または妊娠の可能性がある場合は、市販薬などで自己判断せず、産婦人科などへ相談してください。
Q22. 性病はどうすれば予防できる?
性感染症の感染リスクを完全にゼロにすることは難しい場合がありますが、複数の予防方法を組み合わせることでリスクを下げられます。
コンドームを適切に使用する
膣性交だけでなく、オーラルセックスやアナルセックスでも感染する可能性があります。
コンドームは性行為の途中からではなく、最初から最後まで適切に使用することが重要です。
ただし、皮膚や粘膜との接触で感染する性感染症では、コンドームで覆われていない部位から感染する可能性があります。
気になる症状があるときは性的接触を控える
性器や口周辺に水ぶくれ、潰瘍、いぼなどがある場合は、感染症の可能性があります。
症状がある間は性的接触を控え、医療機関へ相談しましょう。
感染リスクがあれば検査を受ける
性感染症は無症状でも感染していることがあります。
感染の可能性がある性的接触があった場合や、パートナーに性感染症が判明した場合は、症状がなくても検査を検討しましょう。
ワクチンを活用する
性感染症や性的接触によって感染する可能性がある感染症の中には、ワクチンによって予防できるものがあります。
代表的なものとして、
- HPV感染症
- B型肝炎
- A型肝炎
などがあります。
HPVワクチンは、子宮頸がんなどの原因となる一部のHPV型への感染を予防します。ただし、すべてのHPV型への感染を防ぐわけではなく、すでに成立しているHPV感染を治療するワクチンでもありません。
日本では2026年度から、定期接種に用いられるHPVワクチンは9価ワクチンとなっています。
HIVの感染リスクが継続的にある場合はPrEPも選択肢
HIVについては、感染リスクが継続的にある人が事前に抗HIV薬を使用するPrEP(曝露前予防)という予防方法もあります。
日本エイズ学会では、PrEPの利用に関する手引きが公開されています。
PrEPを検討する場合は、適応や服用方法、必要な検査について専門の医療機関へ相談しましょう。
性病は症状だけでは判断できない。不安があれば適切な検査と受診を
性感染症にはさまざまな種類があり、感染経路、症状、検査方法、治療方法もそれぞれ異なります。
特に重要なのは、性感染症は症状がなくても感染している可能性があるという点です。厚生労働省も、性感染症は無症状でも感染している可能性があり、早期診断・早期治療が重要と案内しています。
また、
- 性器以外にのどや肛門へ感染することがある
- 感染直後の検査では正しく判定できないことがある
- 一つの性感染症が見つかった場合、ほかの性感染症の検査が必要になることがある
- 自分だけでなくパートナーの検査・治療が必要になることがある
- 一度治療しても再感染することがある
といった点にも注意が必要です。
感染の可能性がある性的接触があった場合や、パートナーに性感染症が判明した場合は、「症状がないから大丈夫」と自己判断せず、医療機関や保健所などへ相談しましょう。
適切な検査と治療を受けることは、自分自身の健康を守るだけでなく、パートナーへの感染を防ぐためにも重要です。
※本記事は性感染症に関する一般的な情報を提供するものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。症状がある場合や感染の可能性がある場合は、医療機関へ相談してください。


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